佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。
先日、数回に分けて脳卒中後の感覚障害に関する内容を記しました。
具体的に系統立てられたものの確立はなく、感覚障害に対するリハビリ自体の効果についてもさまざまな立場からの意見があるようでした。
しかし、そのような情勢でも、感覚障害をお持ちの方にとっては、どんな内容の感覚障害に対するリハビリがあるかという情報が必要だと感じています。
小生の普段行っている感覚障害に対するリハビリ内容をご紹介したのも、このような気持ちがあったからです。
今回は、もう少し掘り下げて、実際に報告されている感覚障害に対するリハビリ方法を探していきたいと思います。
Gandhiらのスコーピングレビューより
Gandhhらの脳卒中後の感覚障害に対するリハビリに関したスコーピングレビューでは、感覚に対するアプローチは2つに大別されたと報告しています。
ひとつは外部刺激を加えるようなアプローチで、もうひとつは再学習に焦点をあてた感覚再教育でした。
Carlssonらのパイロットスタディとランダム化比較試験
Carlssonらは、脳卒中後の感覚障害がある方々に対して、受け身的な(受動的な)感覚訓練と自ら動く(能動的)な感覚訓練を実施しています。
この訓練では、感覚訓練のみではなく、課題指向型訓練を組み合わせて麻痺側上肢の感覚運動機能に対して有効であると報告しています。
この報告の中で、示された受動的・能動的感覚訓練は、
・異なる触覚を探索し検出する課題
・異なる素材、形、質感、重量、温度などを探索し検出する課題
・異なる物品の形などを検出する課題
などを実施していました。
その他
検索サイトを用いて「脳卒中 感覚訓練」「片麻痺 感覚訓練」について調べましたが、具体的に脳卒中後の感覚訓練について記してあるものを探し出すことができませんでした。
また、「感覚再教育」「感覚トレーニング」のみで調べると、末梢神経障害の方を対象にした研究であったり、基礎的な研究などがあり脳卒中後の方に対する内容を探し当てることができませんでした。
教科書や情報誌や学会発表などの抄録に記載されている脳卒中後の感覚訓練は具体的には以下のようなものがありました。
① 触れているものが何かを感じ取る
鉛筆やコインやタオルなど、日常的に使うものを用意して、触れたものが何であるか感じ取る方法です。
② 小豆や大豆の中に入っているものを探し取る
小豆や大豆の中にビー玉やコインなどを入れて、手を大豆などの中に入れてビー玉などを探し取ります。
当院でも大豆の中にビー玉など入れて、取り出すリハビリメニューを実施しています。
最後に
今回は実践されている感覚障害に対するリハビリについて記しました。
実際に報告されている感覚障害に対するリハビリ方法探してみても、具体的な方法の報告は多くはありませんでした。
病院や施設で工夫しながら患者さんに合ったものを考え出しながら感覚障害に対して取り組んでいる現状ではないかと思います。
わたしも臨床の場で経験を積んで、よりよいリハビリ支援ができるように研鑽したいと思います。
引用・参考
1) Gandhi et al. Rehabilitation of Post Stroke Sensory Dysfunction—A Scoping Review. Journal of Stroke Medicine 4(1) 25-33, 2021
https://journals.sagepub.com/doi/pdf/10.1177/2516608520984296
2) Carlsson H, et al. Efficacy and feasibility of SENSory relearning of the UPPer limb (SENSUPP) in people with chronic stroke: a pilot randomized controlled trial. PMR. 2020
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/pmrj.12767
3)理学療法ジャーナル~特集 脳卒中片麻痺患者の体性感覚障害と理学療法~48巻9号(2014年9月)
,゚.:。+゚最後まで読んでいただきありがとうございました,゚.:。+゚
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この文章は、橋間葵さんのブログ「脳卒中リハビリよろづ相談所」2022年9月8日のブログより転載させていただきました
「脳卒中リハビリよろづ相談所」
https://ameblo.jp/aoi19780728/