佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。
昨日は、「遂行機能障がい」について概要をまとめました。
『高次脳機能障がい:遂行機能障がいについて』
佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。 脳卒中後に出現する高次脳機能障が…
今回は遂行機能障がいのリハビリについて記していきたいと思います。
遂行機能障がいのリハビリテーション
2003年から2008年までの過去の論文の調査にて、遂行機能障がいに対する認知リハビリテーションの推奨レベルとして高いものが、外傷性脳損傷患者さんに対するストラテージ訓練(戦略的訓練)であると報告されています。
その後の追跡調査でも、遂行機能障がいに対するリハビリテーションとして、ストラテージ訓練は高い推奨レベルとなっています。
また、日常生活・行動への適用訓練やグループ訓練なども報告されています。
遂行機能障がいの訓練として、手順や手法が確立しているものとして、「問題解決訓練」「ゴールマネジメント訓練」の2つがあります。
問題解決訓練
問題解決訓練は、複雑な問題(課題)をよりわかりやすい方法に分解して解決する方法を訓練していきます。
問題解決訓練は、認知訓練と行動療法を組み合わせた訓練です。
この訓練では問題解決のプロセスを、以下の3つに分けて構成しています。
1) 1stステージ:問題の分析
2) 2ndステージ:問題解決方法を見つけて細分化する
3) 3ndステージ:評価と判定(誤りの検出と是正)
例えば、スケジュール管理が難しく、仕事に遅刻してしまうことが多い方が問題解決訓練を行うと、以下のような訓練を行います。
①問題の分析
・スケジュールを覚えにくい
・スケジュールを書いた紙をなくしてしまう
・遅刻したときパニックになる
②問題解決方法と細分化
・予定を必ずカレンダーに書き込む
・スケジュールを書いた紙を冷蔵庫の側面に貼る
・遅刻するとき職場にすぐに電話がかけられるように電話番号を電話の近くに張り出す
③評価と判定
②で考えてた方法が現実的な解決方法であるか評価する。
ゴールマネジメント訓練
出典:遂行機能障害とその認知リハビリテーション治療
ゴールマネジメント訓練は、ゴールに向けた行動の中で注意力やワーキングメモリを活性化しながら、ゴールまでの道のりを階層的に捉え、ゴールに向かう道筋から外れることがないように行動を調整しながらすすめる方法です。
ゴールマネジメント訓練は、以下の5つの過程から構成されます。
1) 中止:課題への方向づけと気づきの過程
2) 主課題の定義:目標設定の過程
3) 段階のリスト化:目標を下位項目に分割する過程
4) 段階の学習:下位目標の符号化と維持の過程
5) 確認:モニタリングの過程
最後に
今回は遂行機能障がいに対するアプローチと題してまとめました。
遂行機能障がいに対するリハビリは、手順や方法が決まっているものも有れば、方法が未確立のものなど散見します。
よりよい支援ができるように、これからも理解を深めたいと思います。
引用・参考
1) 原 寛美:遂行機能障害に対する認知リハビリテーション.高次脳機能研究 第 32 巻第 2 号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/32/2/32_185/_pdf/-char/ja
2) 本田 哲三 他:遂行機能障害のリハビリテーション.失語症研究 第18巻 第2号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/apr/18/2/18_2_146/_pdf/-char/ja
3) 原 寛美:遂行機能障害とその認知リハビリテーション治療.Jpn J Rehabil Med 2020;57:629-637
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/57/7/57_57.629/_pdf/-char/ja
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました.。.:*☆
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2022年9月29日のブログより転載させていただきました。