佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
高次脳機能障害が生じている方々へのリハビリ支援は、個別性が高く、その方その方の困っていることや解決したいことに対してリハビリ内容を決めていきます。
実際にリハビリ支援させていただいた方々から同意をいただいて、各種学会で発表させていただいています。
学会で発表した内容は、直接当事者の皆さんが知る機会は少ないと思っています。
個人情報保護の観点から全てご紹介することはできませんが、わたしが実際にどのようなリハビリ支援を行っているか記したいと思います。
社会的行動障害
記憶障害や注意障害を併せもった社会的行動障害があられる方々に対して、なぜその行動をとるのか分析を行っています。
リハビリの予定がわかりにくく不安になって何度もリハビリ室を訪れる方や、毎日の日程とは異なる用事が入ると、一日の行動の計画に対する不安が強く方々がいらっしゃいました。
対応として、毎日ある日課については、スケジュールをメモに書いて本人から見えるところに貼り出すこと、予定以外の用事が入ったときは前もって本人にメモをお渡しして説明するなどを行なっていました。
このような関わりの中で不安が解消され、ご本人さん方は、周囲の方々に対して予定を必要以上に確認する行動が消失しました。
リハビリ場面では、ワーキングメモリに関するリハビリ、展望記憶に関するリハビリ、スケジュール管理などを行っていました。
記憶障害
新しい出来事を覚えることができず、カレンダーや時計に関して懐疑的になって不安行動が著明な方々対して、ワーキングメモリを活用するリハビリを実施しています。
ワーキングメモリを活用した課題として、「物語を創作する」という課題を実施したり、ハノイの塔という展望記憶を利用する課題を行なっていました。
「物語を創作する」課題では、複数の人物などの写真を用意して、人物に名前をつけどんな人物であるか設定して、架空の物語を作っていきます。
物語は 文章化していくのですが、文章化していく中で人物の名前を覚えていたり、人物の背景を覚えておいて物語をつくらなければなりません。
また、物語の起承転結の流れを覚えておかなければ、ひとつの物語として成り立ちません。
この「物語を創作する」過程でワーキングメモリを活用することができ、復職に至った方もいらっしゃいます。
最後に
高次脳機能障害に対するリハビリは、個人個人で異なりますが、たくさんの方を支援する中で、リハビリ支援の共通点もみえてくることがあります。
しっかりお一人お一人の状態を確認しながら、共通点も見出し、リハビリ支援を行っていきたいと考えています。
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2022年11月1日のブログより転載させていただきました。