佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。
脳卒中後、入院してリハビリを行った方が大半だと思いますが、複数のリハビリ職の人が関わり、役割ってなんだろうと疑問に思った方がいらっしゃるのではないでしょうか。
脳卒中後のリハビリに関する専門職は以下の3つです。
① 理学療法士
理学療法士が行う理学療法は、法律で以下のように定められています。
「理学療法とは、身体に障害がある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の行わせ行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」
② 作業療法士
作業療法士が行う作業療法は、法律で以下のように定められています。
「作業療法とは、身体又は精神に障害がある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行わせることをいう」
理学療法士と作業療法士はどのように違うのかというご質問もよくいただいています。
以下のホームページには、理学療法士及び作業療法士法について記載されています。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80038000
また、このブログでも理学療法士と作業療法士の違いについて記しています。
③ 言語聴覚士
言語聴覚士が行う言語聴覚療法は、法律で以下のように定められています。
「言語聴覚士は、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者をいう。」
以下のホームページには、言語聴覚士法について記載されています。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80998053&dataType=0&pageNo=1
それぞれ国家資格であり、医師の指示に基づいて、患者さんの状態や目標に合わせて個別的なリハビリを展開していきます。
3つの職種の具体的な関わり
病院や施設によって考え方がさまざまですが、上記の法律に則ってリハビリを実施していきます。
イメージしやすくなるように、架空の模擬患者さんを想定して、3つの職種の具体的な関わりについて記してみます。
Aさん(脳梗塞:右片麻痺)
主な症状:
・ 右の手足に力が入らない(右片麻痺)
・言葉が話せない(失語症・構音障害)
・食べ物を飲み込む時むせる(嚥下障害)
・道具がうまく扱えない(右片麻痺・失行症)
・立ったり歩いたり出来ない
・服を着替えたり、トイレが一人でできない
もし、このような症状があり、自宅退院を目指している方で、医師からも自宅退院を目指した支援が可能で血圧管理もできていると仮定してみます。
理学療法士の役割
・麻痺の状態を回復させるための運動療法を行う
・起立練習や歩行練習を行う
・トイレ動作に必要なバランス練習を行う
作業療法士の役割
・麻痺の手の機能改善を図るために作業(ブロック積みなど)を行う
・失行症という高次脳機能障害に対するリハビリを行う
・着替える練習やトイレ動作の練習を行う
言語聴覚士の役割
・失語症や構音障害に対するリハビリを行う
・嚥下障害に対するリハビリを行う
・失行症という高次脳機能障害に対するリハビリを行う
以上のような役割分担を行いながら、患者さんが自宅退院できるよう取り組んでいきます。
最後に
脳卒中後のリハビリを行う専門職が複数ありますが、それぞれ役割を持ちながら患者さんのリハビリを行っていきます。
リハビリを受けていてわからないことがあれば、ぜひ担当のリハビリスタッフに尋ねてみてください。
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2024年5月3日のブログより転載させていただきました。