佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
脳卒中後の筋肉のこわばり(痙縮)についてインターネットなどで調べているとき、「相反抑制」という言葉を見つけた方がいらっしゃるのではないでしょうか。
今は無料で学術誌に掲載されているような論文を手軽に誰でも読めるようになったので、インターネットを使って調べ物をしていると、当事者の皆さんも専門用語にいきつくことがあるかもしれません。
相反抑制とは、筋肉の弛緩を引き起こす神経系の反射のことです。
相反する作用を持つ筋肉同士の動きをイメージするとわかりやすいと思います。
例えば、肘を曲げようとするときは肘を伸ばす筋肉が弛まないと肘を曲げることができません。
この時、肘を曲げる筋肉は収縮して、反対の作用を持つ肘を伸ばす筋肉の力は抜ける必要があります。
肘を曲げたいのに、肘を伸ばす筋肉が働いたら肘が曲がりません。
このような作用は無意識的に神経系が働くことで生じます。
このメカニズムを使って、筋肉のこわばり(痙縮)が出ている筋肉を緩めようとする試みの方法があります。
脳卒中後の麻痺手のリハビリでよく用いる輪投げで考えてみます。
輪投げのポールを体の後ろに置きます。
そのポールに向かって、手に持った輪を後ろに移動させます。
この時、肘を伸ばす筋肉が働いて収縮するので、肘を曲げる筋肉が弛緩するのです。
イメージしにくいかもしれませんが、筋肉のこわばりが出ている関節の動きの相反する筋肉を収縮させると、筋肉のこわばりが減少するというものです。
時々、ご自分で調べ物をしていて難しい言葉が出てくることがあると思いますが、お気軽にお声かけくださいね。
引用・参考
1) 井上 陽介 他:相反抑制を用いたストレッチングの有効性. West Kyushu Journal of Rehabilitation Sciences6:25-28,2013
https://www.nisikyu-u.ac.jp/nagahara/uploads/ck/adminmini/files/%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8/%E7%B4%80%E8%A6%81/%E8%A5%BF%E4%B9%9D%E5%B7%9E%E3%83%AA%E3%83%8F%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E7%A0%94%E7%A9%B6/Vol.6%202013/6-04.pdf
2) 長谷 公隆:痙縮の病態生理.バイオメカニズム学会誌,Vol. 42,No.4(2018)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/42/4/42_199/_pdf/-char/ja
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2024年1月23日のブログより転載させていただきました。