佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。
先日、メッセージに屋内の杖歩行の見守りから自立へ変更するときの条件についてお問い合わせをいただきました。
いつも皆さんメッセージありがとうございます。
脳卒中後の歩行の自立に関する研究は数多くあります。
その中でも、杖歩行に関する研究も存在しています。
脳卒中後の杖歩行の自立群と非自立群でさまざまな検査内容を比べた時、
✔️ 歩行速度
✔️ 日常生活動作の検査の認知項目
✔️ バランス検査
の3つが関連すると報告しています。
歩行速度が早かったり、バランス機能がよくても、認知機能に問題を抱えると、危険回避の判断やご自身の歩行状態の記憶に問題を抱えることとなりますので、転倒リスクが高まります。
また、他の研究では杖を用いた片足あげテストにて、自立群と非自立群では有意な差を認めたとも報告しています。
これらの報告を総合的にみますと、
✔️ 歩行速度
✔️ バランス能力
✔️ 認知機能
の状態に杖歩行が自立するか非自立か左右される可能性が高いことがわかります。
ご自宅では家屋の状態で、いくらバランス能力が高くとも転倒リスクが高くなる可能性がありますし、歩行速度が遅くともバリアフリーであったり廊下が狭くて両手で壁を支えることができるのであれば転倒リスクは低くなる可能性もあります。
身体状況、認知機能、家屋状況で総合的に判断しなければならないと考えています。
引用・参考
1) 大田 瑞穂 他:歩行が自立レベルに至らない脳卒中片麻痺者の動的安定性に関する特徴. 理学療法科学 36(1): 73–77, 2021
2) 長田悠路 他:当院における回復期脳卒中片麻痺患者の歩行自立判定指標の検討.Japanese Journal of Comprehensive Rehabilitation Science (2015)
3)星野 高志 他:回復期片麻痺患者の病棟内杖歩行自立の客観的指標による判定基準—決定木分析を用いた検討
4) 立丸 允啓 他:脳卒中患者における歩行自立判定指標としての杖把持片脚立位時間の妥当性検証. 理学療法学 第 50 巻第 2 号 33~41 頁(2023 年)
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2024年6月12日のブログより転載させていただきました。