佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。
昨日、「なぜ、起立や歩行に足の感覚が大切なのか?」の視点でブログにしたためました。
なぜ、起立や歩行に足の感覚が大切なのか?
脳卒中後、運動の麻痺が軽度であっても、感覚障害が重度であれば、自分の足に体重が載る感覚がわからなかったり、手がどこにあるかわからなかったりして、日常生活に大きく影響を及ぼします。
今回は、昨日のブログの内容から、さらに深掘りしていきたいと思います。
体性感覚障害があるとき、歩行はどのようになるか
脳卒中後に生じる体性感覚障害は、皮膚を触った感じがわからなくなる体性感覚障害や、手足の位置や手足の動きがわからなくなる体性感覚障害などが生じます。
病気をする前は、立ったり歩いたりするときに、足の裏の体重の変化に意識を向けたり、歩いている時の足の持ち上がった高さに意識を向けることはほとんどなかったでしょう。
しかし、脳卒中後、体性感覚障害が生じると、麻痺側に体重が乗った感じがわからなくなったり、足裏での体重の移動の変化がわからずに大きくバランスを崩さないとバランスが崩れているとわかりにくくなったりします。
そのため、足がどうなっているかを知るために、多くの患者さん方が足元を見ながら歩くようになります。
そのときの患者さん方は、
「見ていないと、足がどこにあるかわからない」
「足をみないと、歩くのが怖い」
と言う気持ちを教えていただくことが少なくありません。
さらに、脳卒中後の体性感覚障害があると、弱い力で楽に歩くことができずに、力をたくさん入れて同時収縮状態で歩いたり、反張膝と言って膝を後ろに突っ張らせるように体重を乗せて歩く方もいらっしゃいます。
歩行に絡めた体性感覚障害に対する介入
出典:感覚障害を有する症例への自主トレーニング
歩行に絡めた体性感覚障害に対する介入として、上図のように麻痺側足を前に出して、踵からつま先に体重を移動させる中で、足裏の感覚に集中するような練習を行っています。
足裏にはおはじきなどを敷いて、おはじきが足裏のどのあたりにあるか体重を移動させながら探すような気持ちで取り組んでいただきます。
また、硬さの異なるスポンジを踵とつま先の下に配置して、体重を足裏の前後方向に移動させながら、スポンジの硬さの違いを感じ取るように気持ちを集中させていただきます。
さらに、体重を前後に移動させながら膝の曲がり具合や足首の動きの変化に着目していただくような取り組みも行っています。
最後に
今回は、体性感覚障害がある場合の歩行への影響についてまとめました。
感覚障害に関するリハビリ支援は、具体的なエビデンスが少ない印象ですが、経験を積んで、患者さんに還元していきたいと思っています。
引用・参考
1) 山本 吉則:中枢神経疾患における感覚の問題点を機能障害レベルで考える. 関西理学 21: 35–38, 2021
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/21/0/21_21-A06/_pdf/-char/ja
2) Kwon OY, et al.: Comparison of muscle activity during walking in subjects with and without diabetic neuropathy. Gait Posture 18: 105–113, 2003.
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
3) 山本 吉則 他:感覚障害を有する症例への自主トレーニング. 関西理学 20: 15–18, 2020
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/20/0/20_20-A04/_pdf/-char/ja
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2022年11月24日のブログより転載させていただきました。