佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
脳卒中後、自宅退院してから廊下や部屋の中を歩くときに壁伝い歩きを行っている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
リハビリ室での歩行練習を行うとき、平行棒という手すりを用いた歩行練習から杖歩行練習に切り替えるとき、壁を伝って歩く練習を行っています。
杖を使って歩行の能力を高めたり、杖なしでも歩くことができるチャレンジしていくこともあります。
しかし、退院後の生活を見据えて、実生活で活用できる歩行を獲得するために、壁伝い歩きの練習も行います。
自宅退院後、自分の部屋から壁を伝い歩きにて移動してトイレに行く、壁やタンスなどを支えながら部屋の中を歩くということを想定するのです。
歩くときに安全性を高めるためには、体を支える能力やバランス能力が不可欠です。
杖を用いた歩行では、杖を持ち上げて前に出す瞬間は両足だけで体を支える必要があります。
入院中のリハビリ室での杖歩行練習ではリハビリスタッフがいるから安心できるけれども、自宅での杖歩行は怖くて心配というお声を伺います。
そのようなとき、壁伝い歩きであれは、杖歩行の時のように両足だけで体を支えるのではなく、杖に壁を支えて歩くことができるので、杖よりも安全かもしれませんとお伝えして、壁伝い歩きの練習を行っています。
古い研究ですが、文献2では独歩・杖歩行の方でも自宅での歩行は場合によっては伝い歩きを行なっている方が75%以上いると報告されています。
こうしてみると、より日常生活に合わせた歩行は壁伝い歩きであることがわかります。
入院中の歩行に関するリハビリは、歩行能力を最大限に回復させることはとても大切ですが、自宅退院後の生活を見据えて壁伝い歩きもしっかり練習していきたいと思っています。
引用・参考
1) 障害保健福祉研究情報システム
2) 藤井 智:在宅における脳卒中片麻痺者の歩行補助具.日本義肢装具学会誌.1998
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspo1985/14/4/14_4_344/_pdf/-char/ja
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2023年10月22日のブログより転載させていただきました。