転倒・転落アセスメントツールについて

2022年9月15日

佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。

昨日は、脳卒中後の転倒に関することについて記しました。

未然に転倒を予防するために、患者さんおひとりおひとりの身体状況や精神面を把握することが大切で、転倒予防のためにさまざまなチェックシートが用いられます。

当院でも入院したばかりの患者さんに実施しているチェックシートがあります。

「転倒・転落アセスメントスコアシート」と呼ばれるスコアで、各項目を点数化し転倒の危険性を把握するシートで、厚生労働省医療安全対策検討委員会によって作成されました。

転倒・転落アセスメントスコアシートは各病院にあわせて使いやすく整えてあります。

各項目の点数を合計して、転倒の危険度Ⅰ〜危険度Ⅲに分けてチェックします。

転倒は、歩くときだけではなく、座っているときやトイレに乗り移ろうとするときなども、転倒する可能性があります。

リハビリスタッフは、患者さんの体の状態や高次脳機能の症状などを病棟スタッフにしっかりお伝えして、チームとして転倒予防に寄与する必要があると思っています。

転倒転落アセスメントツールを用いる意義

転倒予防学会提言2020では、転倒・転落アセスメントツールについて、以下のような定義を記しています。

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病院や高齢者施設などの入院患者・入所者に対して該当する転倒・転落リスクをアセスメントしスコア化してスコアで総合的に危険度を評価するものと、看護の視点でアセスメント項目に焦点を当てて転倒リスクを捉え、転倒予防につなげるものがある。

転倒の危険度を明らかにして転倒を予測して未然に予防することを目的としている。

転倒・転落アセスメントスコアシートなどと呼ばれ、転倒リスクマネジメントを行うための指標である。
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引用：転倒・転落アセスメントツールに関する提言

上記の提言を踏まえると、転倒転落アセスメントツールを用いる意義は、転倒リスクに対して、医療スタッフ・患者さんともに気づきが生まれリスクマネジメントが行えることだと考えています。

転倒しないようにさまざまな注意をはらったり、対策を行っても転倒する可能性から完全に逃れることは難しいと思っています。

転倒転落アセスメントツールをチェックすることで、転倒リスクが確認でき、普段の業務においても転倒リスクが高い患者さんの状況観察や周辺環境の整備に気持ちが向くのではないでしょうか。

また、可能であれば患者さんとともにチェックして、患者さん・医療スタッフともに転倒に注意を払いながらリハビリをすすめて行くことができるのではないでしょうか。

転倒転落アセスメントツールがあることを心の片隅において、毎日の臨床に向き合いたいと思っています。

引用・参考
1) 転倒予防学会：転倒・転落アセスメントツールに関する提言.日本転倒予防学会誌 2021年7巻3号
https://www.tentouyobou.jp/content/files/risuk%20assessment/20200725%20teigen%20risk%20assessment.pdf

2) 日本看護協会：医療安全推進のための標準テキスト.平成25年10月31日発行

3) 鈴木みずえ他：最新転倒・転落リスクアセスメントツールを求めて.日本転倒予防学会誌 Vol.5 No.1：35-39 　2018

4) 中川洋一他：多施設回復期リハビリテーション病棟における脳卒中患者の転倒要因と転倒状況.Jpn J Rehabil Med 2010 ; 47 : 111.119

5) 一般社団法人　回復期リハビリテーション病棟協会医療安全委員会脳卒中患者の転倒リスクアセスメントシート

6) 回復期リハビリテーション病棟での脳卒中患者における日本語版転倒予測評価の比較.日職災医誌，67：100─107，2019

☆*:.｡. 最後まで読んでいただきありがとうございました .｡.:*☆

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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2022年9月14日のブログより転載させていただきました。

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