佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。
病院で勤務しているとき、患者さんと話したり職員と話したりと、毎日の業務で「話す」ことは欠かせません。
「話す」には、さまざまなシチュエーションがありますが、シチュエーションに合わせた会話の組み立てはもちろん必要です。
また、そもそもの「話す」ことについて多様性が求められているなと感じる機会が増えています。
今まで一般的だと考えられていた、「敬語の使い方」や「語彙力」の多様性がひろがり、寛容な対応が求められてきているのではないでしょうか。
文化庁は、「分かり合うための言語コミュニケーション」の中で、言葉によって円滑に伝え合うための手がかりを4つの要素として提案しています。
言語コミュニケーションの4つの要素
コミュニケーションは、以下の4つの要素を意識し、目的に応じてそれぞれの優先順やバランスを調整することが重要です。
□ 正確さ:互いにとって必要な内容を誤りなくかつ過不足なく伝え合うこと
□ ふさわしさ:目的、場面や状況と調和するように、また,、相手の気持ちに配慮した言い方を工夫して伝え合うこと
□ わかりやすさ:互いが内容を十分に理解できるように、表現を工夫して伝え合うこと
□ 敬意と親しさ:伝え合う者同士が、互いに心地良い距離をとりながら伝え合うこと
言葉は、一方通行では機能せず、互いにやりとりが生まれてはじめて「コミュニケーション」として機能すると考えています。
毎日の臨床の中では、リハビリの内容について説明したり、患者さんが思い描く目標を確認したりと患者さんと話す機会をつくることが必要です。
患者さんと話しを行うときは、双方向のコミュニケーションが成立することが重要であると「当事者会」への参加を重ねることで学びました。
双方向のコミュニケーションが成立すると、充実感・満足感・共感などが生まれると思っています。
わかり合えるということ
双方向のコミュニケーションの中で、お互いがわかり合える瞬間が訪れますが、わかり合えたということはお互いが納得した状態であると感じています。
互いが話すことで、相手の考えや気持ちが理解し合うことができ、相手の考えを受け止めることが可能に。
互いが理解し合うことで、理解が深まり、腑に落ち、安心・満足感が得られるのではないでしょうか。
納得の帰結
互いが理解し合えたとき、納得が生まれると考えています。
納得のあり方は、そのときそのときで変化するものですが、そもそもの信頼関係がベースになっていると思います。
入院してこられた患者さんは、不安なお気持ちになっていることが多く、さまざまなことが初めての体験となり何を誰に伝えればよいか迷ってしまうことも。
そのようなお気持ちの時こそ、信頼関係を築くことが大切です。
信頼関係を基に話すことは、納得として帰結すると考えています。
納得の帰結には、以下のものが分析されています。
□ 実行力の推進:行動力の促進・業績の向上・力を尽くす
□ 精神的安定:回復感・心の安定・安心
□ 思惟の定着:理解の停止・思考の定着
□ 満足感:心嬉しい・満足感・充実感・QOLの高み
□ 信頼関係の構築:人間関係の構築・信頼・相互理解
□ 自己受容:自己肯定感・内省・受容
□ 成長への指向:自己の広がり・高次の課題
この中で重要だと思っているのが、「行動力の推進」「心の安定」「自己肯定感」です。
リハビリを行うにあたって、他人任せではなく、自分で行えることをやってみようと思い行動に変えていく力が必要です。
自分自身で変化するために行動として現れるためには、しっかりとした説明が必要で、理解が深まり納得することが必要です。
最後に
ここ最近感じている「話す」ことにまつわる、「理解し合うこと」「納得すること」について記しました。
双方向のコミュニケーションが成立するように、毎日の臨床場面で信頼関係を得られるような対応で業務に取り組みたいと思います。
引用・参考
1) 文化庁:「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」について.平成30年3月2日
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/__icsFiles/afieldfile/2018/04/09/a1401904_03.pdf
2) 今井 芳枝 他:納得の概念分析.日本看護研究学会雑誌 Vol. 39 No. 2 2016
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsnr/39/2/39_20151214008/_pdf/-char/en
,゚.:。+゚最後まで読んでいただきありがとうございました,゚.:。+゚
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2022年9月27日のブログより転載させていただきました。