佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
脳卒中後、動きの麻痺だけではなく、感覚の麻痺が生じることがあります。
感覚の麻痺とは、触った感じがわからなくなったり、手足の関節が動かす感じがしなかったり、体全体のパーツパーツの空間配置がわからなくなったりします。
体の感覚は、起立や歩行に関してとても重要な役割を担っており、特に足の感覚は重要です。
立っている姿勢を保つためには以下の感覚システムが必要です。
✔️ 視覚情報
✔️ 体性感覚
✔️ 前庭感覚
リハビリでも、足裏の感覚の再教育を受けた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
足裏の感覚は、姿勢を整えるのにとても重要です。
以下に、開眼閉眼での閉脚立位、開眼閉眼でのバランスパッド上での立位の状態を動画で確認していきましょう。
▼ 開眼状態での閉脚立位
目を開けた状態では、両足を閉じて不安定な立位になっても、バランスを崩すことはありません。
▼ 閉眼状態での閉脚立位
目を閉じた状態で、両足を閉じて立つと、若干不安定にはなりますが、しっかり立位を保つことが出来ています。
▼ 開眼状態でのバランスパッド上での閉脚立位
よくリハビリで用いているバランスパッドの上で、目を開けた状態で足を閉じて立った動画です。
バランスパッドは、不安定な状態で足元がぐらぐらして立つことを困難にさせます。
平らな床と異なり、安定した足からの感覚情報が入りにくくなると言われています。
目を開けた状態でもバランスパッドの上で立つときは、腕でバランスをとっているのがわかります。
▼ 閉眼状態でのバランスパッド上での閉脚立位
目を閉じてバランスパッドの上で立つと、視覚情報と体性感覚情報が利用できなくなりますので、前庭感覚を中心とした立位姿勢になります。
前後左右にグラグラ揺れているのがわかると思います。
目を開けていても閉じていても、バランスパッドの上での立位姿勢が不安定なのが確認できたと思います。
バランスパッドの上では、固い床の上と異なり、体性感覚情報が利用しにくくなるので、立っていてもゆらゆら揺れます。
体性感覚が使いにくくなる状況をつくり、立つ姿勢を保とうとしてバランスが崩れてしまうのがわかると、起立や歩行に足の感覚が大切であることがわかると思います。
脳卒中後、麻痺の動きをよくするためのリハビリを行いますが、感覚に関するリハビリも行っていきます。
なかなか、感覚のリハビリとはピンとこないことが多いと思いますが、まずは起立や歩行に足の感覚が大切なんだと思っていただけると幸いです。
引用・参考
1) 板谷 厚:感覚と姿勢制御のフィードバックシステム. バイオメカニズム学会誌,Vol. 39,No.4(2015)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/39/4/39_197/_pdf
2) 板谷 厚 他:不安定面上でのバランスエクササイズが姿勢制御における感覚依存性に及ぼす即時効果
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcoaching/25/1/25_33/_pdf
3) 東 隆史:先行随伴性姿勢調節の基礎的研究について. 四天王寺国際仏教大学紀要 第44号(2007年 3 月)
https://www.shitennoji.ac.jp/ibu/docs/toshokan/kiyou/44/kiyo2006-3-22.pdf
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2022年11月23日のブログより転載させていただきました。