佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。
昨日は、柔らかく麻痺手を机の上に載せる練習について私見ですが記しました。
https://ameblo.jp/aoi19780728/entry-12844011683.html
脳卒中後は、麻痺側の腕や手の筋肉がこわばって曲がりやすくなったり、逆に筋肉の力が抜け過ぎてダランと垂れ下がりやすい腕や手になったりする場合があります。
麻痺手を机に載せたとしても、気がついたら手が机から落ちていたという経験がある方が少なくないと思います。
一旦机の上に麻痺手を載せたとしても、手が机の上から落ちてしまう原因はいくつか考えられます。
① 手だけ机に載せていて、腕の重みから手が下に引きずり下ろされる状態になっている
例えば、写真のように手だけ机の上に載せているときは、肩や肘を空中で保持しなくてはならない姿勢となります。
肩や肘に力が入りにくい場合は、腕の重みで肩や肘が垂れ下がりやすい、手が机から落ちやすくなります。
下の写真のように手が机から落ちそうになるのです。
このような理由で麻痺手が机から落ちてしまう場合は、下の写真のように机の上に載せる腕の面積をできるだけ広くとるようにしていただいています。
場合によっては、おへそが机の端に着くように体幹を前に寄せておくことも有効だと思っています。
② 筋肉のこわばりが強くて腕が曲がってしまう
下の写真はイメージしやすいように作っています。
例えば、しっかり肘から手までを机の上に載せていたとしても、くしゃみやあくびなどしたときに筋肉のこわばりによる肘の無意識的な屈曲が出現して、手が机の端に引き寄せられることがあります。
筋肉のこわばりが強くて肘が曲がりやすい状態の場合、おへそを机の端につけるように体幹を机に近づけて座り、腕全体を机に預けるようにすると筋肉のこわばりが出にくくなる場合もあります。
また、体幹を机にできるだけ近づけて座ると、筋肉のこわばりから肘が曲がりやすくなっても、手が机から落ちにくくなります。
③ その他
上記に挙げた2点以外にも、手が机から落ちてしまいやすくなる理由が挙げられると思います。
・ 麻痺手の感覚障害が著明で手がどこにあるかわかりにくい
・体幹が麻痺側に傾きやすく、体幹の傾きに伴って手が机から落ちてしまう
・麻痺側の腕や手の存在が薄れてしまう(身体失認)
このような場合も、麻痺手が机に載せたままにすることが難しくなることがあると思います。
わたしは、脳卒中後の患者さん方に対して、麻痺手単独で動かすことが難しい場合、麻痺手を日常生活場面に参加させるために、食事の時などに麻痺手を机の上に載せる練習から始めることが多いです。
麻痺手を机に載せたままにすることが難しい理由をしっかり把握して、おひとりおひとりにあったリハビリ支援を行っていきたいと思います。
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2024年3月13日のブログより転載させていただきました。