佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
以前、脳卒中後の疲労感について取り上げました。
脳卒中後の疲労感
脳卒中後の方々のリハビリを行う上で、疲労感のチェックは欠かせないなと思っています。
脳卒中後の疲労については、さまざまな研究がなされていますが、看護分野での質的記述的研究で皆さんにご紹介したいなと思う論文に出会いました。
この論文は、回復期リハビリテーション病棟に入棟されていた脳卒中後の方々が経験する疲労とその対処方法について報告しています。
今回は、論文内容をご紹介するとともに、臨床で感じていることをしたためていきたいと思います。
脳卒中後の方々が体験する疲労
論文では脳卒中後の方々が体験する疲労について、7つのカテゴリーに分けられていました。
□ リハビリテーションによる身体のつらさや頭を使うことによる疲れ
□ 慣れないセラピストとのリハビリテーションの嫌悪感
□ 日常生活の動作ができないことによる無力感
□ 車いす生活のつらさや長時間座ることの不快感や疲れ
□ 思い通りにならない生活を送ることの嫌悪感や苦痛
□ 便秘でお腹が張るつらさや便意が分からないことの不快感
□ 看護師の手を借りなければ排泄できないことの無力感
これら7つについては、臨床場面で伺うことが多い内容です。
論文として改めて明文化されたものをみると、普段から意識しておかなくてはならない体験であると思いました。
また、入院中に疲労を体験している方々が、周囲の医療スタッフに、ご自身が体験している気持ちを話せる雰囲気をつくり、お一人で抱え込まないようなサポートが大切ではないかと感じました。
臨床場面で遭遇する脳卒中後の疲労
毎日の臨床場面で、脳卒中後の方々のリハビリ支援を行うにあたって、身体面の疲労はもちろんのこと、頭の疲労にも配慮してリハビリを実施しています。
何か集中して取り組んだ後、「頭が疲れていませんか?」「何かボーとしてきていませんか?」などお声かけさせていただいています。
体に対して注意を払ってリハビリを行うことは、とても体が疲れます。
また、病気をする前は意識して行うことが少なかった動作を意識してリハビリで取り組むので、頭が疲れると教えてくださる方が多いです。
さらに、思うように回復しなくて不安になったり、周囲の患者さんと自分を比べてイライラしたり、感情の変化が大きくても心が疲れてしまいます。
臨床場面では、体と心の疲れに配慮しながら、より良いリハビリの時間が過ごせるように支援していきたいと思っています。
引用・参考
1) 安田 香 他:回復期リハビリテーション病棟入院初期の脳血管障害患者が経験する疲労と対処. 摂南大学看護学研究, Vol.10, No.1, 2022
https://setsunan.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=1451&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2022年10月25日のブログより転載させていただきました。