中风后感觉障碍

脳卒中後の感覚障害

佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。


脳卒中後、麻痺側の手足の感覚がわかりにくくなったり、完全に触った感じがわからなくなった方がいらっしゃると思います。


脳卒中後の感覚障害は、触れた感じがわからなくなる方が50%、関節が動く感じや手足の位置の感覚がわからなく方が27~52%出現すると報告されています。


今回は、脳卒中後の感覚障害について記していきたいと思います。


脳卒中後の感覚障害とは


脳卒中は、脳の中に縦横無尽に張り巡らされた血管が詰まったり破れたりして発症する病気ですが、ダメージを受けた脳の血管の場所で出現してくる症状が異なりますので、脳卒中になると必ず感覚障害が出るわけではありません。


脳卒中の中でも、脳の血管が破れて出血する脳出血では、感覚の中継地点である「視床(ししょう)」の出血が多いため、感覚障害が出現する頻度が多いです。


また、小脳の脳出血や脳梗塞では、手足の場所がわかりにくくなる症状が出現する場合があります。


感覚障害があるとどのような症状がでるか


感覚障害があると、何か握ろうと思っても握った感じがわからなくってものを落としたり、ポケットの中の物が探せなかったり手の感覚が重要な動きが難しくなります。


また、歩くときに足の裏が地面に着いた感じがわからなくなったり、バランスがとにくくになったりして、転倒の危険性が高まります。


脳卒中後の感覚障害のリハビリテーション


脳卒中後の感覚障害のリハビリテーションは、運動麻痺や失調症のリハビリテーションと同様に、その方その方の感覚障害の状態を把握するところからはじまります。


触れている感覚がわからないのか、手足の位置感覚がわからないのか、ものを握ってどんな形のものを握っているのかわからないのかなどを把握していきます。


さまざまなものを触れる練習


触れているものがわかりにく症状がある場合、「つるつる・ざらざら・ふわふわ」したものなどを触ったりリハビリスタッフの手で触らせたりして刺激を加えて、差を感じ取るようなリハビリを行います。


また、てのひらの中に収まるぐらいのさまざまな形のものを握っていただき、どんな形のものであるか感じ取りを行ってもらいます。


機械を使う感覚リハビリ


振動刺激を発生する道具や電気治療器や空気の圧を発生させるような道具を用いて、さまざまな刺激を入力するようなリハビリを行います。


非侵襲的脳刺激


近年、非侵襲的脳刺激を用いた感覚のリハビリテーションの報告が散見されます。


非侵襲的脳刺激とは、電気刺激などを頭蓋に与えて、脳に刺激を加えることで体性感覚の改善を期待する方法です。


刺激を与える機械は、TMSやtDCSがあります。


出典:Transcranial Electrical and Magnetic Stimulation (tES and TMS) for Addiction Medicine: A Consensus Paper on the Present State of the Science and the Road Ahead


※TMS:経頭蓋磁気刺激  ※tDCS:経頭蓋直流電気刺激


最後に


今回は脳卒中後の感覚障害について記しました。


わたしが養成校で学んでいたときには具体的な感覚障害のリハビリは少なかった記憶があります。


これからも、しっかり学んでいきたいと思います。


引用・参考
1)Sarah F. Tyson et al. : Sensory Loss in Hospital-Admitted People WithStroke: Characteristics, Associated Factors, andRelationship With Function.Neurorehabilitation and Neural Repair 22(2); 2

https://journals.sagepub.com/doi/epdf/10.1177/1545968307305523


2) Chaves,A.R. et al. Probing the Brain–Body Connection Using Transcranial Magnetic Stimulation (TMS): Validating a Promising Tool to Provide Biomarkers of Neuroplasticity and Central Nervous System Function. Brain Sci. 2021, 11, 384.

経頭蓋磁気刺激(TMS)を使用した脳と体の接続の調査:神経可塑性と中枢神経系機能のバイオマーカーを提供する有望なツールの検証

3) Transcranial Electrical and Magnetic Stimulation (tES and TMS) for Addiction Medicine: A Consensus Paper on the Present State of the Science and the Road Ahead. Neuroscience & Biobehavioral Reviews Volume 104, September 2019, Pages 118-140

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0149763419303070?via%3Dihub


☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆

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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2023年4月27日のブログより転載させていただきました。

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