佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
これまで高次脳機能に関することをたびたびブログにしたためています。
高次脳機能障害は、脳卒中や脳外傷などでダメージを受けたご本人はもちろんのこと、周囲にいらっしゃるご家族の方々にとっても理解することが難しい病態だなと感じています。
特に、情動障害については、高次脳機能障害とはとらえてもらえず、病気後に気持ちが落ち込んだりイライラして性格が変わったんだろうと解釈されてしまうことが多いような気がしています。
今回は、高次脳機能に関わる脳の働きとして、情動についてまとめていきたいと思います。
情動とは
情動は、怒り、恐れ、喜び、悲しみなどの強い感情のことを言います。
情動が変化することで、行動や表情が変化したり、顔が真っ赤になるなど自律神経の反応も変化します。
情動に関わる脳部位:前頭葉
出典:Wikipedia
情動に関わる脳部位の代表的な部位は前頭葉です。
上のWikipediaから引用した脳の図で、青色の部分が前頭葉です。
前頭葉は左右の大脳半球の前方にあり、より脳のてっぺんに近いところは運動の命令に関わりますが、脳の前方の端っこである「前頭前野」という部位が情動に関わることがわかっています。
情動に関わる前頭前野働き
前頭前野は、情動に関して抑制的に働くと考えられています。
前頭前野の働きが不十分であると、不安症になったり抑うつ気分になったり、攻撃行動や暴力行為を来すことが報告されています。
前頭前野が情動に関して単独に働くのではなく、さまざまな脳部位と関連しながら情動に関して抑制的に働きます。
最後に
今回は、情動に関わる脳の働きについて、簡単に記しました。
脳卒中後、脳がダメージを受けることで、手足が動きにくくなるだけではなく、情動に関わる脳部位がダメージを受けると、情動障害を引き起こす可能性があります。
患者さんのリハビリ支援を行うにあたって、ダメージを受けた脳の場所をしっかり把握して、さまざまな症状を解釈しながら頑張っていきたいと思っています。
引用・参考
1) 小野 武年 他:感情と知的情報処理の仕組み.高次脳機能研究 25巻2号 2005
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/25/2/25_2_116/_pdf
2) 登張 真稲:共感の神経イメージング研究から分かること.発達心理学研究 2014
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjdp/25/4/25_412/_pdf
3) 鈴木 はる江:感覚と情動から心身相関を考える.心身健康科学 5巻1号 2009年
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhas/5/1/5_1_8/_pdf/-char/ja
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2022年11月21日のブログより転載させていただきました。