佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
先日、「就労支援:高次脳機能障がいを有する方との就労に向けた対話」について思っていることをまとめました。
その中で、患者さんご自身の高次脳機能障がいに対する理解も重要であることについて記しました。
就労支援:高次脳機能障がいを有する方との就労に向けた対話
高次脳機能障がいがある方の就労支援のために、さまざまな書物を読んでいますが、新たな学びがありましたので、わたしの勉強の記録も兼ねて、記していきたいと思います。
高次脳機能障がいの症状の割合
出典:記憶障害に対する学習カリキュラム
東京都の退院患者における高次脳機能障がいの割合を調査したものがあります。
この中で、もっとも多い割合の高次脳機能障がいは、「記憶障がい」でした。
出典:記憶障害に対する学習カリキュラム
また、障害者職業総合センター研究部門が地域センター(52 所)を対象に実施した調査では、地域センターがジョブコーチ支援を実施した高次脳機能障害者( 112 名)に見られた症状の内訳として記憶障害( 74 名、 66.1%)が最も多いとの報告もあります。
さらに、高次脳機能障害者の作業遂行上の問題点についても「作業手順の定着」「覚えられない」など記憶機能に関連する項目が上位となっていることも報告されています。
高次脳機能障がいがある方の就労支援を行うとき、記憶障がいについての支援のあり方を、再度見直さないといけないなと感じた報告でした。
就労に絡めた記憶障がいに対するリハビリテーション
出典:記憶障害に対する学習カリキュラムの紹介
障害者職業総合センター職業センターが令和3年に発行している「記憶障害に対する学習カリキュラムの紹介」では、職業センターで行っているグループカリキュラムについて紹介しています。
特徴的だなと思うことは、記憶障がいについての講義があることだと思います。
記憶のメカニズムや脳と記憶の関係などの講義が用意されています。
ご自分の記憶障がいについて理解するために、また、症状に気がつくために、講義は良いなと感じました。
記憶障害に対する学習カリキュラムについて、しっかり学んで、ブログにまとめていきたいと思います。
少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。
引用・参考
1)三村將 他:記憶障害のリハビリテーションのあり方..高次脳機能研究 23(3):181~190, 2003
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/23/3/23_3_181/_pdf
2)三村將:記憶障害のリハビリテーション-間違った方がおぼえやすいか?努力した方がおぼえやすいか?-:失語症研究 18(2):136~145, 1998
https://www.jstage.jst.go.jp/article/apr/18/2/18_2_136/_pdf/-char/ja
3)独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター職業センター:記憶障害に対する学習カリキュラムの紹介.令和3年3月
https://www.nivr.jeed.go.jp/center/report/h3iskd0000002nnp-att/practice38_.pdf
4)柴崎光世:前頭葉機能障害の認知リハビリテーション.明星大学心理学年報 2012,No.3,23-40
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2023年1月19日のブログより転載させていただきました。