ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Ⅰ.主要症状等
1.脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認せれている。
2.現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である。
MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できる。
1.脳の器質的病変に基づく認知障害のうち身体障碍として認知可能である症状を有するが上記主要症状(Ⅰ-2)を欠く者は除外する。
2.診断にあたり、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。
3.先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする者は除外する。
1.Ⅰ~Ⅲをすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。
2.高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後において行う。
3.神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
高次脳機能障がいのリハビリに対するモデル事業では、発症から180日経過した方の訓練効果を報告しています。
「視空間認知障害を有した方の10年間の経過で、神経心理学的検査や日常生活において改善がみられたが、質的な観察からは、神経ネットワークの再編による機能そのもの の回復だけでなく、残存機能を用いた種々の方略に よる補完が寄与していることが示唆された。」
「発症後 7~27 ヵ月時の間に言語理解能力、発症後 28~55 ヵ月時の間に音読を中心とした 表出能力、発症後 56~70 ヵ月時の間に書字能力を中心に、機能回復が生じていた。」
「言語治療が中断されても、生活の中での外的 言語刺激の受容によって言語機能が回復する可能性 があることが推察された。」
「1)失語症状の回復は損傷部位や発症年齢によって経過は大きく異なるが、少なくとも 6 ヵ月以上の長期にわたって回復を認める症例が多いこと、2)言語治療後に回復を示した機能は脆弱である可能性が高いこと」
1)阿部 順子 他:脳外傷後の高次脳機能障害の回復.人間環境学研究 2004年2巻2号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shes/2/2/2_2_2_35/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jotr/40/4/40_519/_pdf/-char/ja
https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2021/04/1619417051.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/38/3/38_331/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/35/3/35_332/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/34/3/34_305/_pdf
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2022年9月22日のブログより転載させていただきました。