佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
脳卒中発症時は救急搬送にて救急病院で治療を行い、回復期リハビリテーション病棟へ移った方が多いのではないでしょうか。
発病してからは環境や1日の過ごし方が普段とはことなり、気持ちが落ち着くまで時間がかかった方も少なくないと思います。
特に、高次脳機能障害があると、周りの状況や時間の流れを把握することが困難となります。
私が気がけている高次脳機能障害がある方に対する配慮について記そうと思います。
できるだけ環境を変えない
入院中は一般病棟から回復期リハビリテーション病棟に移動するなどの部屋替えが余儀なくされます。
病棟や病室が変わると、看護師などのスタッフが変わったり、同室者のメンバーが変わったりするので、人の名前や顔を覚えたばかりなのに、再び新しい方を覚えなければなりません。
また、病棟や病室が変わると、トイレの場所や部屋からの方向が変わるので混乱する方もいらっしゃいます。
病棟が変わったり部屋が変わる場合、事前にお伝えして少しでも混乱を避ける配慮が必要だと思います。
できるだけ刺激を減らして落ち着ける環境をつくる
4人部屋などの多床室では、廊下側に近いベッドを使うと、スタッフの出入りが頻繁であったり、廊下を行き交う人の声や足音が気になることがあり、なかなか落ち着くことができない場合があります。
可能であれば、出入り口から奥のベッドを使うことをおすすめしています。
また、行き交うスタッフの動きが目につかないように、カーテンで仕切るという対応も考える必要があると思います。
アドバイスは一貫性を持たせる
物理的な環境だけではなく、スタッフの言動も患者さんにとっては外的刺激となりますので、混乱を起こさないように一貫したアドバイスをすることがたいせつだと思っています。
あるスタッフは○○というアドバイスを行い、別のスタッフは△△という異なったアドバイスを行うと、高次脳機能障害がある場合では混乱する可能性があります。
カンファレンスなどで患者さんにあった一貫性のあるアドバイスについて話し合っておくことが大切です。
静かな環境で療養やリハビリを行う
ざわざわしている環境ではなかなかゆっくり過ごすことが難しいと思います。
リハビリ室でもなにかリハビリに取り組む時、騒がしい場所では注意が散漫したり、混乱が生じてイライラしたりする可能性があります。
また、場合によっては病気の特性から大声を出す患者さんとリハビリ時間が重なることもあると思いますので、多くの患者さんが互いに過ごしやすいようにリハビリ実施時間を調整することも必要だと思っています。
高次脳機能障害がある場合、頭の中が混乱して疲れ切ってしまっている方々とたくさん出会ってきました。
少しでも落ち着いて過ごすことができるように配慮していきたいと思っています。
引用・参考
1) 厚生労働省科学研究:障害福祉サービス等事業者向け高次脳機能障害支援マニュアル.平成30年
http://www.rehab.go.jp/application/files/5015/9494/7962/b9db10649adbb666403f061d654ac29b.pdf
2) 堺市立健康福祉プラザ生活リハビリテーションセンター 堺市高次脳機能障害支援ネットワーク推進会議 編:高次脳機能障害の理解と支援のために.平成26年
http://www.sakai-kfp.info/CMS/data/img/handbook.pdf
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2024年7月8日のブログより転載させていただきました。