佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。
夏本番を前にし、脳卒中再発予防に対する意識が高まっているのではないでしょうか。
ブログでもときどき脳卒中再発防止に関する内容を取り上げています。
夏が来る!脳卒中再発防止のために
夏場の脳卒中再発予防に関する情報は、啓発資料を用いることが多いのですが、脳卒中に関する医学誌ではどのように扱っているか確認したいと思い調べてみようと思いました。
今回は、調べた内容をまとめていきたいと思います。
脳梗塞と脳出血の起こりやすい季節があるのか
脳梗塞と脳出血の起こりやすい季節は研究者によって意見が違うという報告がありますが、一般的には「脳梗塞は夏場に起こりやすい」、「脳出血は冬場に起こりやすい」と言われています。
よって、夏場の脳卒中予防は脳梗塞予防と言い換えることができると思っています。
脳梗塞の発症しやすい季節について
文献1)は少し古いのですが、1993年~1997年にかけて、報告者の病院に急性期脳梗塞として入院した557例について調査しています。
この報告において発症季節別分布は、夏と冬が多かったという結果でした。
脳梗塞の分類別としては、ラクナ梗塞は夏と冬、午後の活動時に多く、アテローム血栓性梗塞はばらつきを認めませんでした。
また、心原性脳塞栓は冬で午後の活動時に多いという結果でした。
熱中症と脳梗塞
夏場は熱中症を発症した後、脳梗塞を発症した事例の報告が散見されます。
2006年と2008年に日本救急医学会熱中症検討特別委員会が実施 した症例調査では、熱中症症例1441例のうち22例で中枢神経系後遺症を認めたと報告しています。
出現した中枢神経系後遺症は、高次脳機能障害・嚥下障害・小脳失調などでした。
脱水と脳梗塞
脳梗塞事例に対して、水分欠乏量から血液年度を測定し、脱水と脳梗塞の関係を調査した報告があります。
心原性脳塞栓症や脳塞栓症再発群では、血液粘度(血液のドロドロ具合)が有意に高く、心原性脳塞栓症では脱水が発症に関連すると考えられるとしています。
最後に
今回は脳梗塞を発症しやすい季節について調べたことをまとめました。
夏場に起こりやすい熱中症や、汗をかくことで生じる脱水との脳梗塞との関連の報告に目を通すことができました。
外来にて脳卒中後のリハビリ支援も担当させていただいているので、しっかり再発予防の啓発を行なっていきたいと思います。
引用・参考
1) 福田 倫也 他:脳血管障害発症の週間及び季節変動.脳卒中21巻3号(1999:9)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke1979/21/3/21_3_291/_pdf/-char/ja
2) 馬淵 直紀 他:脳梗塞発症と季節 ・時刻 ・病型との関連について.脳卒中22巻4号(2000:12)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke1979/22/4/22_4_634/_pdf/-char/ja
3)高橋 貴美子 他:心原性脳塞栓発症における脱水の影響.脳卒中 14巻6号 (1992: 12)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke1979/14/6/14_6_606/_pdf/-char/ja
4) 岡本 定化 他:熱中症を契機に脳梗塞を発症した1例.脳卒中 35巻1号(2013:1)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/35/1/35_48/_pdf/-char/ja
5) 中村 俊介 他:熱中症による中枢神経系後遺症.日救急医会誌. 2011; 22: 312-8
https://www.jaam.jp/nettyu/2207nakamuraronbun.pdf
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2023年6月22日のブログより転載させていただきました。