佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
脳卒中後、手足が動きにくくなる、言葉が出にくくなる、物の扱い方がわからなくなるなどのさまざまな症状が出現する可能性があります。
脳卒中後のリハビリは、発症からの時期に合わせた病期ごとのリハビリやおひとりおひとりの状態に合わせたリハビリを実施していきます。
発症からの時期に合わせた病期ごとのリハビリは、急性期・回復期・生活期の3つの時期に応じた内容を組み立てていくのが一般的です。
今回は、脳卒中発症からの時期に合わせたリハビリについて、簡単にまとめたいと思います。
急性期
急性期とは、脳卒中発症直後から2週間程度(書物によってばらつきあり)の時期を指します。
多くの場合では、救急搬送された病院で過ごしている時期にあたります。
急性期では、リスク管理を十分に行いながら、離床に関わるリハビリや、二次的な症状予防のリハビリを実施します。
具体的には、血圧など管理しながらベッドの頭の部分を徐々に起こしたり、ベッドに腰掛けたり、車いすに乗りうつる練習を行います。
また、自分では動かすことが難しくなった手足をリハビリスタッフが動かすことで関節を柔らかく保つリハビリも実施します。
回復期
回復期は、救急病院での治療後、地域の回復期リハビリテーション病棟に入院してから自宅退院や施設入所までの時期を指すことが多いです。
回復期では、脳のダメージの状況を考慮しながら、残された能力を最大限に引き出し、日常生活動作が行いやすくなるようなリハビリを実施します。また、自宅退院に向けた支援や就労に必要なリハビリを組み立てていきます。
具体的には、自分でトイレに行くことができるように車いすを動かす練習やトイレでのズボンの上げ下ろしの練習やトイレ動作に関わるバランス練習や手の動きを引き出すようなリハビリを実施します。
また、自宅の状況をお伺いして、自宅で生活するために必要なリハビリを組み立てたり、仕事復帰に必要なパソコンの練習や歩いて通勤できるように歩行の耐久性を向上させたりするなどのリハビリを行います。
急性期および回復期のリハビリは、主に病院に入院して行われます。早期に自宅に退院した場合は、病院に通院してリハビリを継続することもあります。
生活期
生活期は、自宅退院後や施設入所の時期を指します。
生活期では、自宅や施設などで生活を営むために必要な能力の維持と向上に関わるリハビリを実施します。
入院中に選んだ福祉用具(杖や車いす)や住宅改修で設置した手すりなどを活用しながら、その方らしい生活を支援していきます。また、脳卒中再発予防に務めます。
病院での通院リハビリを継続する方、介護保険を利用してリハビリを継続する方、保険を用いない自費リハビリ施設を利用する方などさまざまなです。
脳卒中後のリハビリは病期ごとのリハビリ以外に、おひとりおひとりに合わせたオーダーメイドのリハビリも組み立てていきます。
脳卒中後の症状は、手足が動きにくくなったり、細かい手作業ができなくなったりすることが多いのですが、脳のダメージを受けた部分の違いでさまざまな症状が出てきますので、オーダーメイドのリハビリが必要になるのです。
また、立ち上がり練習や歩行訓練や麻痺手のリハビリなど基礎的なリハビリ内容が存在しますが、患者さんご自身の目標や退院に必要な能力はおひとりおひとりで異なります。
例えば、立ち仕事に復帰する方では立位の耐久性やバランス練習などを取り入れますし、パソコン操作が必要な方では手指の細かい動きの練習を行います。また、自宅退院の条件にトイレの自立が必要な場合、トイレに関するリハビリ内容を組み立てていきます。
脳卒中後のリハビリは、病期ごとの共通するリハビリに加えて、患者さんの目標や必要とされる能力をしっかり把握して内容を吟味していくことがリハビリスタッフには求められます。
これからも、時期ごとのリハビリやおひとりおひとりに合ったリハビリ内容を追求していきたいと思っています。
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2023年9月1日のブログより転載させていただきました。