站在火车上

列車に立って乗ること

佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。


通勤や外出などで列車に乗る方がいらっしゃると思います。


毎回座席に座ることができると安心ですが、満員列車のであれば立った状態で過ごす必要があったり、タイミングが合わないときは乗車直後から下車まで立って過ごすことが必要な場合があると思います。


自宅で立って家事をするときより、列車に乗って立ち続けることが大変だと思います。


列車に立って乗る場合、カーブや発進・停止に伴って、体が大きく揺れることがありますね。


わたしも列車を利用して出勤していますので、カーブや発進・停止に伴って体が大きく揺れてびっくりすることも度々です。


毎日の通勤コースでは、だいたいこの辺りで列車がスピードを落とすなとか、もうすぐいつものカーブに差し掛かるということがわかります。


列車がスピードを落とすタイミングやカーブに差し掛かることなど事前にわかると、予測して前もって両足で踏ん張りをきかせることができます。


予測して前もって両足で踏ん張りをきかすと、大きくバランスを崩してしまうことはありません。


しかし、脳卒中後に列車に立って乗るとき、うまくバランスが取れないというお話を教えていただくことが度々あります。


今回は、列車に立って乗ることに関する内容をまとめていきたいと思います。


外乱に対する姿勢制御


出典:漸増する水平外乱刺激に対する姿勢応答


列車などに立っていて、列車が揺れることで体に加わるなどする体の外から与えられた刺激を外乱と呼びます。


姿勢制御とは、バランスを保ったり、一旦バランスが崩れても安定した場所に戻ることができるための能力です。


外乱に対する姿勢制御は、


✔️ 予測的姿勢制御


✔️ 代償的姿勢制御


の2つから成り立ちます。


予測的姿勢制御は、体の外からの刺激が与えられる前に調整する姿勢制御です。


例えば、いつもの通勤コースでの列車の揺れは、揺れるタイミングなどがわかるので、姿勢を保つために前もって姿勢が崩れないように準備するということです。


代償的姿勢制御は、外乱が体に加わった場合に起こったバランスの崩れを取り戻すための姿勢制御です。


これらの姿勢制御には、中枢神経系がバランスよく働くことが必要で、与えられた外乱刺激に対処できることが求められます。


脳卒中後の立位での姿勢制御


脳卒中後、麻痺側の股関節や足関節の関節の動かせる範囲が小さくなっていたり、バランスが崩れたことを知らせるための感覚に問題を抱えています。


バランスが崩れたことがわかるために、視覚・前庭・体性感覚が必要です。


股関節や足関節の皮膚や筋肉などが伸ばされて、バランスが崩れた量(大きさ)、バランスが崩れた方向などを素早くキャッチできるので、バランスを保つための戦略が取れます。


しかし、脳卒中後では、感覚障害があったり、関節の可動域制限などがあることも多く、バランスを崩してしまう可能性が非常に高いと思います。


もし、列車内で立った状態で過ごさないといけない場合、予測的な姿勢制御の観点から、カーブや列車の発進・停止のタイミングなどを事前に知り、対処することが大切です。


最後に


今回は、列車に立って乗ることに関して記していきました。


列車の揺れで体のバランスを崩されないように前もって予測ができれば良いなと思います。


引用・参考
1)三好 彩苗 他:床面の側方移動に対する外乱予告の有無が 下肢筋の筋活動に与える影響.Japanese Journal of Health Promotion and Physical Therapy Vol.11,No.1:19-24,2021


2)飯島 賢一 他:漸増する水平外乱刺激に対する姿勢応答.生体医工学 2009

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmbe/47/1/47_1_70/_pdf


3) 谷 浩明:姿勢制御のプログラム.理学療法科学 1995

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika1996/10/3/10_3_121/_pdf


4)佐藤 博志:中枢神経形障害の姿勢制御機構に対するアプローチ.理学療法科学 2007

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/22/3/22_3_331/_pdf


☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆

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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2023年2月11日のブログより転載させていただきました。

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