注意障碍:“过滤模型”

注意障害:フィルタモデル

佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。


脳卒中後、周囲のざわつきにイライラしたり、集中したいのにさまざまな音が聞こえてきて集中しにくくなったりしている方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 

このような症状をお持ちの方は、脳卒中後に生じる、高次脳機能障害のひとつの「注意障害」があるかもしれません。


注意機能は、いくつかの視点から分類することができます。


感覚の視点から注意を分類すると以下のものが挙げられます。

 

□ 視覚的注意

□ 聴覚的注意


方向性の視点から注意を分類すると以下のものが挙げられます。


□ 全般性注意:選択性注意や持続性注意など

□ 方向性注意:空間に注意を向ける機能

 

臨床ではSohlbergとMateerの分類がよく用いられています。


□ 焦点的注意:あるひとつの対象に注意を向ける機能

□ 持続性注意:一定時間注意を持続しうる機能

□ 選択性注意:多数の刺激の中から、必要な情報を選び出す機能

□ 転換性注意:注意する対象を切り替える機能

□ 配分性注意:2つ以上の対象に注意をわける機能

 

感覚情報フィルターとしての注意機能

 

生活している中で、さまざまなものを見たり、聞いたりするとき、みえているもの・聞こえているものは、かなりの量の情報が入ってきているはずですが意識にのぼりません。


たくさんの情報が入って来ても、大部分の情報は意識にのぼりません。

 

たくさんの情報から必要な重要な情報だけを意識にのぼらせる機能が注意機能です。


必要な情報と不必要な情報をわける作業としてフィルタにかけているという仮説があります。


いっぺんに頭の中に入れる情報には量の制限がありますので、必要な情報のみ意識にのぼらせて、不必要な情報は意識にのぼらせません。


ブログを読んでいるとき、集中していれば、「換気扇の音」や「虫の声」など実際にその場にある情報でも意識にのぼらないので、ブログに集中できるというものです。

 

注意障害とフィルタモデル


脳卒中後、注意障害が生じている場合、選択性注意の機能が低下し、意識にのぼらなくても良い情報が頭の中に入ってくる可能性があります。


リハビリ室でリハビリをしていても、他の患者さんの話し声が聞こえて辛かったり、リハビリ室の換気扇の音が頭の中に聞こえて集中しにくくなります。


静かな場所では集中できるけれども、ザワザワしている喫茶店では集中できないというものです。


なかなか集中できないなと感じていらっしゃる方は、


① 集中できるような環境で作業をする

② 注意がそがれないように刺激を減らす


などの配慮にて、集中力がアップするかもしれません。


「集中力がなくなっているな」と感じていらっしゃる方は、環境を整える工夫が必要だなと思っています。


引用・参考

1) 注意と視覚探索

https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej1997/58/11/58_11_1619/_pdf/-char/ja


2)河原 純一郎:注意の瞬き.神経学評論 Vol.46 No.3 2003

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/46/3/46_501/_pdf/-char/ja


3) この人は今どの会話を聞いているのか?-聴覚的な注意集中の測定法-

https://www.jst.go.jp/kisoken/presto/complete/jyohou/seika/2ki/09.pdf


4) 聴き“ながら”の作業は作業効率を低下させる可能性!

https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220114_01web_bgm.pdf


☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました。o .。.:*☆

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この文章は、橋間葵さんのブログ「脳卒中リハビリよろづ相談所」2022年8月29日のブログより転載させていただきました。


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