佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
脳卒中後の自主トレを行なったり、日常生活で麻痺側の手足を使うとき、いろいろ配慮されているのではないでしょうか。
麻痺側の指を細かく使う練習であったり、バンザイの動きのように腕を上げる練習などの自主トレですね。
麻痺側の手足に対して、部分的に練習していて、実際の生活場面で手足を使おうと思ったとき、なかなか上手くいかない場合があります。
例えば、
✔️ 自主トレ時に麻痺手で箸を使ってつまむことができていても、食事のときになかなか箸が使えない
✔️ 自主トレ時に麻痺手で皿の縁を握ったり離したりできていても、食事のときに麻痺手で皿を握れない
✔️ 麻痺側の腕がバンザイできるようになっていても、立って何か取ろうとしても、腕をバンザイさせることができない
このように、自主トレでできたことが、日常生活場面でなかなか活用できないということです。
さまざまな理由があると思いますが、理由の1つが「意識していない体の部分が整っていないこと」だと思います。
上の写真は、ナイフとフォークをセットしている写真ですね。
ナイフとフォークをセットしている方が意識していることは、丁寧に置くことであったり、見栄え良く配置することだと思います。
意識している動きを繊細に行うために、注意深く手指を使っていることでしょう。
しかし、視点を変えて考えてみると、意識していない体の部分については、無意識にコントロールしているはずです。
「少し前かがみの姿勢になっているので、足裏の体重移動に合わせて、両足の踏ん張り具合を調整する」
「目的の場所に手を動かすために、肩と肘で手が届く場所まで手を伸ばしている」
このような内容を無意識的に調整しているのです。
自主トレで手指を動かしやすくなっていたとしても、日常生活場面で手指をうまく使うことができていなければ、無意識に調整しなくてはならない両足や胴体や肩や肘などの場所が適切ではないのかもしれません。
腕を上げて何かを取ろうとするとき、立っている姿勢であれば、手を伸ばした方向の足で体重を多めに受け取る必要があります。
座っているときに手指を使う場合、胴体が安定していなければ、腕を上げたり、手指を目的の場所まで伸ばすことが難しくなります。
意識していない体の部分も、日常生活で手足を使うためには大事なことです。
何かの動きが、自主トレでうまくできるけれども、日常生活では活用しにくい場合、意識していない体の部分が整っているか確認していただけるとよいかと思います。
みなさんの参考になると幸いです。
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2023年2月9日のブログより転載させていただきました。