手去感受

感じとる手

佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。


脳卒中後の麻痺手のリハビリについて、どんなことをするのだろうとイメージしたとき、積み木や輪投げを使って握ったり離したりすることを想像する方が多いのではないでしょうか。


また、テーブルの上に畳んだタオルを置いて、その上に麻痺手の手のひらを載せて、テーブルを拭くような動きをイメージする方もいらっしゃるかもしれません。


麻痺手のリハビリでは、積み木や輪投げやテーブル拭きはポピュラーな課題だと思います。


「麻痺手=動きにくい(動かない)」という観点から積極的に動かすようなリハビリを組み立てていくことが多いです。


しかし、手が足や胴体と異なる機能として、「細やかな動きができること」「道具を操作すること」などが挙げられ、「動き」のためのリハビリに「感じとり」を含ませたいと思いながら臨床展開をしています。


例えば、ポケットの中から鍵を取り出すことをイメージしてください。


ポケットの中に手を入れ、指先や手のひらに当たった鍵を、ポケットから取り出しやすいように手指で握り直して、ポケットから鍵を取り出すと思います。


このような動作がスムーズに行えるためには、手指の細やかな動きが必要です。


細やかな動きは、手指や手のひらなどで鍵を触ったときに、ポケットの中の鍵の向きがわかり、手指や手のひらの形がどのようになっているかがわかることが必要です。


ポケットの中の鍵の向きがわかるので、手指でどのように握れば良いかがわかるので、適切な握りをつくることが出来ます。


また、手指や手のひらのポケットの中での形がわかるので、ポケットの中の広さに合わせて手指や手のひらを自由に動かすことが出来ます。


ポケットの中での鍵の向きや手指の形がわかるということは、「感じとり」ができるということです。


感じとりは、触れたものの硬さを感じたり、手指の形がどのような形(グーパーなどの形)であるかわかったり、握ったものの形がわかったりすることです。


この感じとりは、手指の細かい動きや手指の力の込め方などに必要です。


麻痺手のリハビリを行うとき、動きに着目しがちですが、手指の感じとりにも注目してみることをおすすめします。


麻痺手が動きにくい状態から動かせるようになり、ものを握る練習をしているとき、「もっと力を抜いて握っていいですよ」と言われた方もいらっしゃるかもしれません。


握ることが出来始めたころは、「力をたくさん入れないと、手指が滑ってものを落とす可能性があるような気がして、力いっぱい握ります。」と教えくださった方もいらっしゃいます。


力を抜いてものを握ってくださいと言われても、ものを落としそうなときは、感じとりが苦手な時期だと思っています。


普段の自主トレの中で何かものを握る練習をするとき、握るものの硬さや形を感じとってみることをおすすめします。


少しでも麻痺手が動きやすくなるように、さまざまなことを学んでブログに還元したいと思っています。


☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆

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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2023年4月14日のブログより転載させていただきました。

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