佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
脳卒中後、手足が動きにくくなる運動麻痺や感覚がにぶくなる感覚障害だけではなく、ものごとを考える力や話をする機能などに障害を生じる「高次脳機能障害」と呼ばれる症状が出現する場合があります。
その高次脳機能障害のひとつである「遂行機能障害(すいこうきのうしょうがい)」は、ものごとを計画して行動に移すことが出来なかったり、問題を解決することが難しくなったりする症状が出現します。
具体的には、
✔ ものごとの優先順位を決められない
✔ 2つ以上の用事を同時進行ですすめることができない
✔ 計画通りにものごとがすすまないと混乱する
などで、日常生活を円滑にすすめたり、職場でルールやマニュアルにしたがった業務が行えなくなります。
当院では、脳卒中後の方々のリハビリを行っていますが、遂行機能障害がみられる患者さんが少なくありません。
リハビリを行っていくにあたって、以下のような心構えで声かけを行っています。
✔ いつ、どこで、だれが、なにを、どのようにするか明確に伝える
✔ あいまいな言葉をさける
✔ 言葉以外にイラストや文字があると理解しやすい場合、補足的に文字などを用いる
✔ 主語→述語の順で声をかける(倒置法はわかりにくいという私見です)
✔ 単語だけがいい方か、文章がいい方か見極めて声をかける
以上のようなことがらを配慮しています。
例えば、
× 「あっちにいってから、昨日やったリハビリの内容を始めます」
○ 「わたしと一緒にリハビリ室に行きましょう。○○さんは、リハビリ室に着いてから筋力トレーニングを始めましょう」
など、できるだけ伝わりやすい内容を模索しながら対応しています。
わたしが避けている方法の「倒置法」ですが、「始めましょうね、筋力トレーニングをリハビリ室に着いてから」などという声かけになります。
もちろん、この倒置法が合う方もいらっしゃると思いますので、患者さんの反応をしっかりみることが大切ですね。
ブログを読んでくださっているみなさんで、わかりやすかった声かけや配慮していることがあれば教えていただけたら嬉しいです。
引用・参考
1) 原 寛美:遂行機能障害とその認知リハビリテーション治療.Jpn J Rehabil Med 2020;57:629-637
2)独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構:早わかり課題対応手引き編
https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/intellectual/q2k4vk000000ta15-att/q2k4vk000000ta45.pdf
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2024年1月5日のブログより転載させていただきました。