姿势控制

姿勢制御について

佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。


昨日は、「列車に立って乗ること」について記しました。


列車に立って乗ること


その中で少し説明いたしました、「姿勢制御」について改めて記していこうと思います。


姿勢制御とは


姿勢制御とは、支持基底面に対する重心のコントロールのことをさし、Horakらは姿勢制御を6つの要因に分けています。


出典:The Balance Evaluation Systems Test (BESTest) to Differentiate Balance Deficits


①バイオメカニカル:筋活動や関節運動のつながり


②垂直性/安定性限界:重力に対し垂直性を保つ機能/重心が支持基底面の中で安定できる範囲


③姿勢反応:バランスが崩れても、立て直そうという反応


④予測的姿勢制御:バランスが崩れる前に働く姿勢調整


⑤感覚オリエンテーション:視覚・体性感覚・前庭感覚に


⑥歩行の安定性:文字通り、歩行の安定性に関わることがら


支持基底面とは、体重を支えるための床面積のことで、座っているときにお尻や太ももの裏や足裏などが周囲(椅子や床)に接触している面積で、立っているときは足裏が床に接触している面積のことです。


支持基底面が広ければ広いほど体は安定します。


立っているときには座っているときより支持基底面が狭いので、バランスを取ることが難しくなる方も多いと思いますが、それを補完するために杖などを用います。


立っているとき、両足だけで立つのではなく、杖を用いることで、杖と両足を囲んだ面積が支持基底面となるため、支持基底面が拡がり姿勢が安定します。


姿勢制御には、代償的姿勢制御と予測的姿勢制御の2種類があり、無意識のうちに実行されます。


代償的姿勢制御は、バランスを崩したときにバランスを姿勢を調整する動きを行います。


予測的姿勢制御は、何か運動を行うとき、バランスを崩さないように姿勢を前もって調整する働きを行います。


脳卒中後の姿勢制御


脳卒中後、手足が動きにくくなることで、座っているとき、立っているときに姿勢を保つことも難しくなり、バランスを崩しやすくなります。


姿勢を保つためには、脳の中でさまざまなメカニズムが適切に働くことが必要です。


姿勢制御に関わる脳の部分の代表的な神経の経路は、網様体脊髄路で、手足を伸ばす筋肉の活動を高める神経の経路です。


その他、小脳のダメージや感覚に関する脳の部位などのダメージでもバランスを取ることが難しくなります。


脳卒中後、姿勢制御に関する機能を高めるために、さまざまなリハビリを行なっていきます。


最後に


今回は改めて姿勢制御についてまとめました。


少し難しい分野の内容ですが、しっかり学び続けていきたいと思っています。


引用・参考
1)丸岡 祥子 他:上肢運動に際した先行随伴性姿勢調節に関する文献的研究.関西医療大学紀要, Vol. 6, 2012

https://www.kansai.ac.jp/pdf/kuhs_kiyo_06/15_br_maruoka.pdf


2)Horak F.B:The Balance Evaluation Systems Test (BESTest) to Differentiate Balance Deficits.Phys Ther 2009

バランス赤字を区別するためのバランス評価システムテスト


3)星 文彦:バランス機能と評価.愛知県理学療法学会誌 第 22 巻 第 2 号 2011 年 2 月

http://aichi-npopt.jp/dl/ppr_22_02_hoshi.pdf


4)高草木 薫:大脳皮質・脳幹-脊髄による姿勢と歩行の制御機構.脊髄外科 Vol.27 No.3 2013

https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/27/3/27_208/_pdf


☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆

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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2023年2月12日のブログより転載させていただきました。

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