佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。
たびたびこのブログでわたし自身のことをしたためていますが、今回は「患者さんの気持ちの1つでもわかろうとする努力を行う」ことを患者さん自身にお伝えするようになったきっかけなどについて書いていきたいと思います。
わたしは作業療法士として病院に勤務するようになって20年以上経過しています。
20年数年の作業療法人生のうち、完璧なリハビリテーション支援を行えたという実感は1つもありません。
他のスタッフから、どんなにうまくいったと思えるリハビリテーション支援でも、不備があったり、まだまだ行えると思うことがあったりと悔やむことが多いです。
また、思うようにリハビリが進まなかったり、不測の事態に対処できなかったりすることをたくさん経験してきました。
さらに、十分に患者さんの気持ちをくみ取っていたり、訴えてくださる気持ちをたくさん吐き出していただけるような態度で臨床に挑んでいても、十分に向きあうことができないこともありました。
わたしは完璧ではありませんし、完璧なリハビリを行える人はいないと思っています。
いろいろ患者さんとお話する中で、「患者さんになってみたことがない人には何にもわからないよね」と吐露されたこともありました。
そんなとき、わたしは「あなたのことの全てをわかることはできない」「あなたの気持ちはよくわかりますよという医療スタッフがいても本当の部分でわかっているわけではない」「だからこそ、あなたの100ある気持ちのうち、1つでもわかろうとする努力をさせてください」とお伝えしています。
そのようなお声かけをさせていただくと、「本当に病院の職員は、患者のきもちがわかったフリをしているだけよね」とか、「実際、脳卒中になった人ではないのに、患者の苦しさをわかるはずはないよね」などの返答をいただきます。
この「患者さんの気持ちの1つでもわかろうとする努力を行う」ようになったのは、わたし自身が体験した入院や自宅療養生活からくるものです。
わたしは今まで3回入院をしています。
その入院のひとつでは、1回脱走しました。
ある入院では、完全な監視下に置かれました。
医療者側からは大したことではないと思うかも知れない医療ミス(不正請求)をされました。
入院して1週間、睡眠薬を使用しても全く眠れなかったこともありました。
医療の裁判を起こそうと思って弁護士に相談したこともありました。
看護師がいくら申し送りだとしても、廊下で話をしていると「わたしの悪口」を言われているような気がしました。
経験の浅い医療スタッフから退院に向けての指導があったとき、ベテラン医療スタッフから退院に向けての療養指導について謝られたこともありました。
医療を受けた経験から「患者さんの気持ちを全て理解することはできない」「だからこそ、そのうちの1つでもわかろうとする努力が必要」という気持ちに至りました。
「患者さんの気持ちの1つでもわかろうとする努力を行う」ことを患者さん自身にお伝えするようになって、10年以上経過しますが、未だに完璧なリハビリテーション支援を行えている自信はありません。
患者さんの気持ちのうち1つでもわかろうとする努力の中から、「自分で歩けると思うのに病室で自分だけで歩いていると注意された」「痛みがなかったのにだんだん痛みが出てきて、病気だから仕方がないといわれた」などのお気持ちをお寄せいただくことが増えました。
そのお気持ちに対して、「その気持ち自体の内容をリハビリの目的や目標にすること」「ともに解決していくこと」などを語り合っています。
これからも、完璧になりたいとは思っていませんし、なれるとも思っていません。
患者さんの気持ちのうち1つでもわかろうとする努力を行い続けていこうと思っています。
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」202211月8日のブログより転載させていただきました。