分析写作

書字を分析してみる

佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。


脳卒中後、麻痺側が利き手の場合、動きにくさの回復とともに、麻痺側の手で字を書く練習を始める方がいらっしゃると思います。


麻痺側の手で鉛筆やペンを持てるようになって、いざ文字を書こうと思ったとき、上手くいかないことがあります。


✔ 鉛筆を握ることができるのに、文字を書き出すと鉛筆が手から離れる


✔ 横線が苦手


✔ 縦線が苦手


✔ はらいが苦手


✔ 文字のバランスがうまくいかない


さまざまな「書きにくさ」があると思います。


字が書きにくい理由:その2


「鉛筆は握れるのに何でかわからないけど字が書きにくいな」と感じていらっしゃる方は、一度ご自分で書字を分析してみることをおすすめします。


書字を分析してみて、ご自身の特徴をつかんで、書字練習に活かしていただけたらと思います。


今回は、書字の分析について記していきたいと思います。


鉛筆やペンをどのように握っているか


▼ 一般的な握り方





一般的な筆記用具の握り方は、以下の4つの面や点で支えて握ります。


① 母指の末端


② 示指の末端


③中指のDIP関節の橈側面(中指の親指側の面)


④示指のMP関節周囲辺の橈側(人差し指の根元の関節の親指側)


わたしは、一般的な握り方で鉛筆を握ることができないので、親指の根元と薬指の爪の近くの関節で鉛筆を支えて握ります。


▼ わたしの鉛筆の握り方

 


線の方向と関節の動きの関係


文字を書くとき、文字の線の方向や、縦書きもしくは横書きなどの違いで、体の使い方が異なってきます。


横線


横線を引くときは、肩関節の回旋運動が主な関節の動きとして必要です。


肩関節の回旋運動は、肩を中心とした運動で、脇を閉めた状態で肘から手指がわずかに横移動します。


縦線



縦線を引くときは、肘関節の屈伸や肩関節の回旋の動きが中心です。


回転(「あ」の部分の「の」の部分)


円を描くような線を引くときは、肩の回旋運動や肘の屈伸運動、手関節の屈伸の動きが必要です。



鉛筆の傾き


鉛筆を握ったとき、紙に対して鉛筆がどのような傾きであるかについても分析してみましょう。


倒している




立てている



ご自身の鉛筆の握り方や線を書くときに、鉛筆の傾きも関係しますので、チェックしてみましょう。


最後に


今回は、ご自身で書字動作を分析する方法について記しました、


お役に立てると幸いです。


引用・参考
1)田口  英郎 他:ゴニオメーターによる書字動作の解析法.Society of Biomechanisms Japan (SOBIM)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/biomechanisms/8/0/8_KJ00004275152/_pdf


2)青柳 勝也 他:書字動作における姿勢と把持方法の連関規則の分析.The 27th Annual Conference of the Japanese Society for Artificial Intelligence, 2013

https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2013/0/JSAI2013_1H5OS02c2/_pdf/-char/en


3)押木 秀樹 他:書字における文字間の空筆部に見られる動作の分析と考察.書写書道教育研究

http://www.shosha.kokugo.juen.ac.jp/oshiki/ronbun/2018_%E6%8A%BC%E6%9C%A8%E3%82%89_%E6%96%87%E5%AD% 97%E9%96%93%E3%81%AE%E7%A9%BA%E7%AD%86%E9%83%A8%E3%81%AB%E8%A6%8B%E3%82%89% E3%82%8C%E3%82%8B%E5%8B%95%E4%BD%9C%E3%81%AE%E5%88%86%E6%9E%90%E3%81%A8%E8% 80%83%E5%AF%9F.pdf


4)押木 秀樹 他:書字における書きやすさの重要性と 書字動作に関する基礎的研究.書写書道教育研究 第21 号(2007) pp.48-57

http://www.shosha.kokugo.juen.ac.jp/oshiki/ronbun/2007_kakiyasusa.pdf


5)原田 貴子:利き手不全片麻痺の書字動作解析.杏林医会誌 2010

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyorinmed/40/4/40_4_69/_pdf


6)野中 哲士:書字技能の発達:字を書く身体と環境.バイオメカニズム学会誌,Vol. 44,No.4(2020)


☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆

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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2023年3月12日のブログより転載させていただきました。

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