佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
脳卒中後、手足が動きにくくなる麻痺が生じる場合がありますが、手足が動きにくくなる症状以外に言葉が出にくくなったり、集中力が保ちにくくなる高次脳機能障がいが出現することがあります。
高次脳機能障がいは、一般的になじみがない言葉で、症状について説明を行ったとき、ご本人もご家族の方もわかりにくい症状ではないかと思っています。
わかりにくい症状であることも加わり、高次脳機能障がいに対するリハビリの目的がわかりにくく、モチベーションが下がってしまう方を臨床にて経験しています。
高次脳機能障がいに対するリハビリは、他のリハビリと同様に、モチベーションを保つことはとても大切です。
今回は、高次脳機能障がいに対するリハビリ支援で考えていることについて記していきたいと思います。
ありのままの思っていることを話していただく
高次脳機能障がいがある場合、注意障がいを有していると話している内容があちこちばらけてしまうことがあります。
ばらけてしまう話の内容について、聞いている側のリハビリスタッフは、話をまとめたり短くなるように要約したくなるかもしれません。
しかし、本人が紡ぐ言葉のひとつひとつがリハビリ支援の糸口につながる可能性を持っています。
リハビリ支援を充実させるためにも、できるだけありのままの思いを口に出していただくような関わりを持つように心がけています。
興味があることを探していく
高次脳機能障がいのうち、遂行機能障がいや注意障害があると、行動を計画できなかったり、作業に集中することが難しくなったりします。
そのような場合、本人の興味があまりないことを高次脳機能障がいのリハビリに導入しても、なかなかモチベーションが保てなかったり、集中力が続きにくかったりすることを経験しています。
まずは、ご本人の興味があることを探し、興味があることをリハビリの中に組み込んでいます。
例えば、オセロが好きであれば、リハビリのときに20分はオセロを行うこと、オセロをリハビリのときに行うために、午前中のリハビリはご自分で10時にリハビリ室へ来ていただくことなどの行動計画を立てて行きます。
できることを増やしていく
いろいろリハビリで行った方がよいのでしょうが、まずはできることを増やしていくためのリハビリを模索します。
難易度を調整して、できることを確実に増やして、「できた」という達成感を増やしていくように心がけています。
エラーレス学習という学習方法があり、成功体験を増やすことで学習効果が高まることがわかっているので、できるだけ失敗体験をつくらないように配慮しています。
リハビリ時間などの予定を固定する
入院期間中でのリハビリの場合、リハビリの実施時間をできるだけ一定の時間で固定して、計画的に毎日を過ごすことができるように配慮しています。
高次脳機能障がいがある方では、入浴や検査などあらかじめわかって予定が入っている 場合でも、パニックになることも。
毎日とは違う予定がある場合も、しっかり事前にお伝えして、できるだけ心に波が立たないようにしています。
ご本人への説明方法を工夫する
高次脳機能障がいに対する理解は、本人・ご家族・その他周囲の方々にとって難しいことも多く、医療スタッフからも見逃されてしまうこともあります。
高次脳機能障がいに対するリハビリ支援を行うとき、しっかり症状の説明やリハビリの目的を伝えて対応しています。
言葉だけではなかなか伝わりにくいこともあり、文字やイラストに交えながら説明しています。
ブログでも度々お役立ち情報として取り上げている、高次脳機能障がいに関するパンフレットを使うこともあります。
最後に
今回は、高次脳機能障がいに対するリハビリ支援で考えていることついて記しました。
少しでも、リハビリでの取り組みを知っていただけると嬉しいです。
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2022年12月29日のブログより転載させていただきました。