佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
脳卒中後、手すりを使ったり杖を使って歩く練習を行った方が多いと思います。
自宅退院前にリハビリスタッフから、自宅での自主トレや訪問リハビリなどで一日の歩行の距離や時間の目安についての指導があったでしょうか。
退院後、一日の歩行距離や時間に関しては具体的な目安がないのが現状で、担当リハビリスタッフがおひとりおひとりの体の状態に合わせて歩行の距離や時間の目安を伝えているかもしれません。
脳卒中後のリハビリテーションでは、歩行に関するリハビリは理学療法時間の20%しか費やしていないということが過去の報告でわかっています。
この報告では、神経の可塑性を促し回復を加速する観点から歩行に関するリハビリ時間が不十分であると記しています。
Schneiderらは、効果的な脳卒中後のリハビリとして1回60分以上で週4〜5回を推奨しています。
Hornbyらの報告では、介助なしで10m歩行が可能な方の歩行練習において、弱い負荷の歩行練習より、強い負荷の歩行練習の方が歩行能力や歩行の対称性を改善させたと記しています。
1回のリハビリテーションの中で、歩行練習はどのくらいの時間や距離を歩く方がいいのか明確な目安はありません。
患者さんの疲労度・バイタル・手足の症状(手足のこわばりが強くなるなど)を観察しながら、歩行練習の時間や距離を決めているのが現状です。
脳卒中後の歩行に関するさまざまな資料を読みながら、少しでも効果的なリハビリ方法がないか模索し続けたいと思います。
引用・参考
1) Carmen M. Cirstea:Gait Rehabilitation After Stroke.
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.120.032041
2) 病期別にみた脳卒中片麻痺者の歩行改善に向けて-生活期から-
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/41/8/41_KJ00009647380/_pdf
3) T. George Hornby et al. Contributions of Stepping Intensity and Variability to Mobility in Individuals Poststroke A Randomized Clinical Trial. Stroke. 2019 September ; 50(9): 2492–2499
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.119.026254
4) Schneider EJ, et al: Increasing the amount of usual rehabilitation improves activity after stroke: a systematic review. J Physiother 62(4): 182-187, 2016.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S183695531630056X
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2023年4月30日のブログより転載させていただきました。