佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
つい最近、脳卒中後の高次脳機能障害に対するリハビリテーションのうち、「ワーキングメモリ障害」に対するリハビリテーションについて調べる機会がありました。
この機会にこのブログでもワーキングメモリについて取り上げてみたいと思います。
ワーキングメモリとは、何かを行おうとしているとき必要な事柄をいったん頭の中で留めておいて、その用事が終わると頭の中では必要な事柄が削除されます。
このいったん頭の中で必要なことを留めておく機能がワーキングメモリの機能です。
誰かに電話をかける時、スマホの登録したらボタンを押してかけるのではなく、初めてかける電話番号を何か見ながらスマホに入力するときに短い間だけその番号を覚えておくと思います。
この電話番号をいったん覚えておく機能が、言語性のワーキングメモリと呼ばれます。
言語性のワーキングメモリは、本を読む時意味を覚えながら読むときなどにも必要です。
また、空間性ワーキングメモリといって、見えている事柄をいったん頭の中に覚えておくという機能です。
例えば、自動販売機で飲み物を買うとき、飲みたいものが一番上の段の左端にあるというような場所に関するワーキングメモリです。
わたしたちの生活は、すべてのものごとを覚えておくことは大変なので、何か用事がある時だけに短い時間だけ覚えておけばいい記憶を使うことで成立します。
このワーキングメモリの障害があると、以下のような症状が出る場合があります。
✔️ お風呂が後2人と口頭で言われて、「お風呂」だけ頭に入って順番を飛び越えてお風呂に入ってしまいそうになる
✔️ 何ごともやることに時間がかかる
✔️ 新聞や本を読むのに何度も読み直さないと意味がわからない
✔️ 何かやっているときに話しかけられて、何をしていたか忘れてしまう
このような症状があらわれて、日常生活を送りにくくなります。
おひとりおひとりのニーズに合わせた勉強と支援を行なっていこうと思います。
引用・参考
1) Westerberg H, Jacobaeus H, Hirvikoski T, Clevberger P, Ostensson ML, Bartfai A, et al.Computerized working memory training after stroke – a pilot study. Brain Injury 2007;21(1):21–9.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17364516/
2) Barker-Collo et al. Reducing Attention Deficits After Stroke Using Attention Process Training A Randomized Controlled Trial. Stroke. 2009;40: 3293-3298.
https://www.ahajournals.org/doi/pdf/10.1161/STROKEAHA.109.558239
3) 苧坂 満里子:ワーキングメモリ:こころの制御基盤とその脳内機構. 生産と技術 第67巻 第3号(2015)
http://seisan.server-shared.com/673/673-56.pdf
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2024年1月26日のブログより転載させていただきました。