佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
臨床現場で、「失調症ってなんですか?」と患者さんや医療スタッフなどから質問をいただくことがあります。
「失調症」という言葉だけでインターネットなどで検索すると、「自律神経失調症」「統合失調症」「運動失調症」などさまざまな言葉がヒットすると思います。
脳卒中後は、「運動失調」を生じることがあります。
「自律神経失調症」は、めまいや動機などの神経症状で、「統合失調症」は精神科領域の病気です。
「運動失調」は、小脳や脳幹などの脳のダメージで起こる症状です。
今回は、運動失調について改めてまとめていきたいと思います。
運動失調とは
運動失調とは、協調運動障害の1つで、「運動麻痺がないにも関わらず、筋が協調的に働かないために円滑に姿勢保持や運動・動作がうまく遂行できない状態」のことです。
脳卒中でダメージを受けた場所が、脳の後方にある「小脳」である場合、運動失調が出現することが多いです。
小脳のダメージ以外に、前庭器官の病気(メニエル病)や脊髄の病気(脊髄梗塞など)や前頭葉の病気(多発性脳梗塞など)でも運動失調が出現する場合があります。
運動失調の主な症状を以下に挙げます。
✔️ 歩く時、足を横に広げながらあるく
✔️ 歩く時、足がパタパタと音を立てる
✔️ ものを取ろうとする時、腕がふるえる
✔️ 歯磨きなど繰り返す動作のリズムがばらつく
臨床場面では、ある部分だけの脳のダメージだけではなく、複数の部分に脳のダメージを受けている患者さんもたくさんいらっしゃいます。
運動失調は、麻痺がないにも関わらず、動きにくくなる症状ですが、小脳だけでなく、運動麻痺が出現する場所もダメージを受けている患者さんもいらっしゃいます。
臨床場面としては、麻痺もある運動失調を呈した方に出会うことがあるのが現状です。
おひとりおひとりの症状をしっかり把握しながら、リハビリ支援を行っていきたいと思っています。
1)渡邊 裕文:協調運動障害に対する理学療法.関西理学 6:15-19, 2006
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/6/0/6_0_15/_pdf/-char/ja
2)後藤 淳:運動失調に対するアプローチ.関西理学 14:1-9,2014
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/14/0/14_1/_pdf
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2023年1月23日のブログより転載させていただきました。