佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の
橋間葵です。
脳卒中後、 麻痺側の腕を守るために三角巾やアームスリングを使ったことがある方がいらっしゃるのではないでしょうか。
▼ アームスリング
出典:けあぴ
また、自宅退院後も麻痺側の肩が痛いためにアームスリングを使用している方もいらっしゃるでしょう。
脳卒中後の方々の肩の痛みは、視床痛といって脳卒中由来のそのものの痛みだけではなく、麻痺側の寝ているときのポジションがうまくいかなかったり、起き上がりの時に麻痺側の腕を後ろの方に忘れてしまうなどの二次的な原因から起こる痛みがあります。
この二次的な肩の痛みを予防するためにも三角巾やアームスリングが用いられます。
今回は、三角巾やアームスリングについての考え方について記していきたいと思います。
三角巾やアームスリングを使うことがすすめられる状況
三角巾やアームスリングを使うことがすすめられる状況は以下のような状況だと思います。
麻痺側の肩に亜脱臼がある場合
腕や手の麻痺の状態が重度の場合(ほとんど動かない場合)
麻痺側の腕や手に重度の感覚障害がある場合
起立練習・移乗動作練習・歩行練習など際に、腕がぶらぶらして平行棒や車いすにぶつかりやすい場合
上記のような場合に、三角巾やアームスリングを使うことがすすめられるということは、二次的な肩の痛みや脱臼を予防することが主な目的です。
三角巾やアームスリングを使うことで麻痺自体が回復したり、何かが良い方向に変化するというわけではありません。
三角巾やアームスリングを外すタイミング
三角巾やアームスリングを外すタイミングもさまざまな状況があります。
麻痺手の動きが改善して肩の脱臼のリスクが低減したとき
三角巾などに対する患者さんの苦痛や不安が増大し、三角巾などを使わずとも他の代替方法が見つかったとき
上記のような場合、三角巾やアームスリングを外すかどうか他職種で協議します。
三角巾やアームスリングは、麻痺側の肩の脱臼などを予防するなどの目的がありますが、麻痺側の腕や手指の関節拘縮を助長したり、麻痺側の腕に注意が向きにくくなる可能性のデメリットもあります。
患者さんの麻痺側の肩などのリスク管理とともに、デメリットにも目をむけ、しっかり対応していきたいと考えています。
引用・参考
1) 林 泰堂 他:脳卒中患者の麻痺側肩関節の疼痛に対する三角巾を 使用した夜間ポジショニングの効果.愛知県理学療法学会誌 第24巻第1号2012年6月
http://aichi-npopt.jp/dl/ppr_24_01_hayashi.pdf
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました .。.:*☆
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この文章は、橋間葵さんブログ「脳卒中リハビリよろず屋相談所」2023年8月31日のブログより転載させていただきました。